大内 崇史さん、稲見 翔さん
大内 崇史さん 福岡県出身。福岡県の大学院博士課程を修了後、2016年に入社。入社後は熱利用機器技術部に配属。現在は、FCC技術部 FCC技術課 エンジニアとして燃料電池の開発に携わっている。 稲見 翔さん 西条市出身。福岡県の大学院修士課程を修了後、2019年に入社。入社後は念願だった燃料電池を開発している部署である、FCC技術部 FC電機技術課に所属。燃料電池の開発において制御システムの設計を担当している。
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失敗したこと、またそれをどう乗り越えましたか?
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自分が設計したものと、実際にできたものが違っていたことです。燃料電池の中には、電気で動くいろんな機器が入っていて、それらに電気を送るためにいくつもの電線がのびています。レイアウト図のイメージで配線の長さを決めたことで、実際の長さが足りなくなってしまい、製造現場の人や上司に迷惑をかけてしまいました。現場の人と直接話し合い、上司にも確認してもらうことで解決できたのですが、そのときにコミュニケーションを取りながら仕事を進めていく大切さを実感しました。
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ある熱交換器の実験で1年間悩んでしまったことです。燃料電池は、全体の機能がうまくバランスをとることで、やっと性能を発揮できます。なので、自分の担当している熱交換器がすべて適切に機能しないと、燃料電池全体が機能しないんです。一人で考えこんで視野が狭くなってはうまくいかないので、上司や部署の枠を超えた先輩にアドバイスをもらうこと、最後まで諦めないことが大切だと学びました。
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燃料電池は私たちの生活のどんなところで役立っていますか?
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ミウラの製品ではありませんが、たとえば家庭用のエネファームという燃料電池があって、これは日本全体では約30万台、四国では約1500台が販売されています。火力発電だと取り出せる電気エネルギーがおよそ40%なのに対し、燃料電池だと電力50%+熱40%で計90%のエネルギーが使えるようになるんです。
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燃料電池で松山をどうしていきたいですか?
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松山市を災害に強い都市にしたいです。燃料電池のメリットは地球にやさしく、災害時にも条件によっては電気を供給できるところです。ガスを供給し続ける限り発電し続け、まわりの機器にも電気を供給することが可能です。 通常、電線は地上を通っていますが、燃料電池を動かすための燃料となるガスは地中を通って供給されたり、各家庭に設置してあるガスボンベから供給されたりしています。万が一災害時などで停電したとしても燃料ガスは供給されている場合が多く、その際には電気を供給し続けることができるんです。燃料電池を作って普及させることができれば、災害時にも携帯電話の充電ができたり、エアコンや冷蔵庫を使用したりできるようになり、災害に強い都市をつくることが可能になります。
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松山市は環境モデル都市に選ばれていて、2030年までに約27%の温室効果ガス排出量削減、2050年には温室効果ガスの排出を実質ゼロにしようという目標を掲げています。実現する手法の一つとして燃料電池も市の行動計画書に記載されているため、燃料電池が松山に貢献できると思っています。
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今後松山とどのように関わっていきたいですか?
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松山での生活の中で、仕事に生かせるヒントが得られたらいいなと思います。例えば、松山に住んでいる人の主な交通手段って車ですよね。燃料電池が普及し、電気自動車も普及が進めば、災害時にも車に給電することができるかもしれません。「燃料電池がこんな施設に入っていたら災害時に役立ちそう」など、そういう発見を製品に還元し、松山で暮らす人のためになるものづくりができたらいいなと思います。
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環境モデル都市の目標数値を達成するためには、一人ひとりがもっとCO2排出量を削減しなければなりません。ですので、CO2の排出量が少なく、防災にも役立つ燃料電池を普及させて、安心して住み続けられる松山にしていきたいです。
取材を終えて
稲見さんと大内さんから仕事へのやりがいや強みを聞き、ミウラで働いている方はみなさん仕事への愛があるなと思いました。今回の取材で、先輩方や周りと協力していくことの大切さ、仕事の大変さを知ることができました。